特別対談 あなたにぜひ伝えたいことがあります。大好き!を伝える子育て宣言

子育てハッピー対談『子育てハッピーアドバイス』は、子育て中のママたちから圧倒的な支持を得て、シリーズ累計400万部を超える大ベストセラーとなっています。このシリーズの愛読者というタレントの新山千春さんと著者の明橋大二医師との対談が行われました。


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3歳までは自己肯定感を徹底して育む時期

新山 先生の本を愛読していて、ブログでも紹介させてもらいました。

明橋 それはうれしい。新山さんのブログはママたちがたくさん見ていますからね。娘さんは何歳になられたんですか。

新山 小春は今4歳です。“魔の二歳児”の反抗期が一段落して、聞き分けもよくなりました。それでも叱る事はありますが。

明橋 どんな時に?

新山 迷惑をかけることや危険な事、それからルールやマナー違反をした時です。でも先生、叱るのって難しいですね。

明橋 そうですね。叱り方にはポイントがあります。まず全人格を否定するような叱り方、例えば、「こんなことやるなんてあなたは最悪」なんていうのはいけない。子どもの存在そのものを否定してしまうからです。叱るなら、行動を叱ることです。

新山 感情的になってしまうことはあるでしょうね。私も「もうママ、知らない!」と言ってしまったことがあって反省しました。

明橋 でもそれが実際に子育てしているということですよね。ついキレてしまうのは、それだけ子育てをがんばってる証拠なんです。でも知識として正解を知っていれば、あとで調整ができると思うんですよね。

新山 私は叱る時、声のトーンを低くして「お話があるからおいで」と言って、それから手を握って「どうしてこれをしたの?」と尋ねるようにしています。

明橋 すごくいいですね。もう少し小さい子でも、母親が真剣に何かを伝えようとしていることはわかります。でも2~3歳まではなかなかルールは守れません。3歳までにしつけを終えるなんて到底無理。この頃はとにかく心の土台を築く時期なんですよ。心の土台とは言い換えれば、自分は大切な人間なんだと思える事――これは自己評価、自己肯定感と言われます。まず自己肯定感があって、しつけや学習があるんです。

「甘えさせる」と「甘やかす」の大きな違い

新山 先生の本の中でとても印象に残ったのが「甘えない人が自立するのではなく、甘えたい時に甘えた人が自立する」という言葉です。もう本当にそうだなって。

明橋 私が徹底して伝えているのが「甘えは決して悪くないんだ」ということです。「甘えさせる」と「甘やかす」の違いを知らない人が多い。「甘えさせる」というのは情緒的な欲求で、「抱っこして」「お話聞いて」といったこと。この欲求にはしっかり応えていい。一方「甘やかす」のは、物質的な欲求。「お菓子頂戴」「おもちゃ買って」とか。これはきちんと制限をする。でないと、心の寂しさを物で埋めようとするようになってしまいます。

新山 子どもの自己肯定感を育むためにどうしたらいいですか?

明橋 ちょっとしたことでも、「ありがとう」をたくさん伝えることです。この言葉は、最高のほめ言葉。それは“評価”ではなく、もっと根源的なもの。「自分の存在がお母さんを喜ばせている」と、自分の存在そのものを肯定できます。子どもたちは皆必要とされたいと思っていますから。

新山 娘も「ありがとう」の言葉がほしいかのように動きます! お皿を運んでくれたり、飲み物をもってきてくれたり! この先、お手伝いできて当然の年齢になっても「ありがとう」と伝えよう。

明橋 私が言う、ほめ方・叱り方は「大好きを伝えるため」のものです。大好き=自分が必要とされているということ。そう感じることは、人間の心の土台を支える一番大切なことですから。

「親」の成長も社会全体であたたかく見守る

新山 娘は今習い事に通っているんですが、そこでお友だちから「へたくそ」なんて言われて、結構落ち込んでいで……。泣きながら「ママぁ、今日もこんなこといわれた」って言うんです。

明橋 相手の子自身が周囲からそういう否定的なことを言われているんでしょうね。そんな時、一番言ってはいけないのが「あなたも悪いんじゃないの?」という言葉。子どもは心の支えを失って気持ちを閉ざしてしまう。
 小春ちゃんは、ちゃんとママに伝えられる。その関係がすばらしい。ママが共感して、一緒に悩んでくれる分だけ子どもは楽になっているんですよ。
「つらかったね。でもあなたはあなたでがんばってるよ。

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ママは大好きよ」と言ってもらえば、少し元気を取り戻し、また習い事に行こうという気持ちになる。その安心感が、がんばろうという意欲の土台になるのです。

新山 そうやって子どもを思う存分、甘えさせていいんですね~。先生の言葉に救われるママたちは本当に大勢いると思います。

明橋 今の世の中、昔とはまた違った子育ての難しさがあります。今の親は親なりに、よくがんばっていると思う。「最近の親は……」なんていいますが、子育て中の彼らをもっと社会全体で温かく見守っていかなくては。子どもが1歳なら親もまた1年生なんですから。

新山 ありがとうございます――。今日は、また新たな気持ちで子育てを楽しもう、そんな元気をもらいました。

新山千春(にいやま・ちはる) プロフィール
1981年青森県生まれ。ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞しデビュー。明るい人柄で瞬く間にお茶の間の人気者に。2004年に結婚し、06年に女児出産。ブログは大人気。著書に育児本『新山千春のおひさま子育て』がある。
(2010年 11月30日 朝日新聞紙面より)